塗り薬の使い方

お薬の使い方 第1回

いよいよ夏本番!暑い日が続きますね。
暑くなって、肌の露出も増えれば、皮膚のトラブルも増えてきます。 皮膚薬のお世話になる機会も多くなってくるのではないでしょうか?
でも店頭では、成分が同じでも剤型が違うものがあって、何を選んでいいのか困ってしまいます。
そこで、今月は剤型にスポットをあてた皮膚薬の選び方をご紹介いたします。

1.代表的な剤型と注意

  1. 1)液剤
    皮膚への浸透性が高く、手を汚さずに塗布できます。また、広範囲にも塗布しやすい剤型です。
    お手軽に使えるため、軽度の虫刺されなどにおすすめです。
    また、水虫薬の場合は、液剤は浸透性が高いため、皮膚が固くなった水虫に効果的です。
    一方、基材にアルコールを使用しているものも多く、患部がジュクジュクしていたり、傷がある場合には刺激があるため使用できません。
    また、引火性があるため、火気厳禁となります。
  2. 2)ゲル剤
    塗布部に薄い被膜を形成するので、ラッピング効果が期待できます。
    従って、クリームや軟膏のようにお薬を繰り返し塗りこむと、被膜が壊れてぼろぼろと垢のようなカスがでてきます。
    患部の表面に軽く広げるように塗布するといいでしょう。
    ゲル剤は、虫刺され薬や水虫薬に多く見られます。塗布部がさらっとしている反面、液剤と同様に、基材にアルコールを使用しているものも多く、傷口に使用できないものもあります。
  3. 3)クリーム剤
    伸びがよく、広範囲にも塗布しやすいのが特徴です。
    液剤より刺激が少なく、軟膏よりベタ付き感が少ないため、患部が広範囲の日焼けやあせも等に適しています。
    また、おむつかぶれにもクリームは使いやすいので、おすすめできます。
  4. 4)軟膏剤
    薬剤の貯留性が高く、油脂性なので患部を水から遮断できます。 刺激も少ないため、創傷面や中程度以上の虫刺されに使用します。 一方、べた付き感があるものが多く、衣類にも付着しやすいので注意が必要です。
  5. 5)噴霧剤・エアゾール剤
    患部に触れずに、広範囲に薬剤を塗布できます。
    この剤型には消毒剤、水虫薬等がありますが、広範囲に塗布できる反面、患部以外にも薬剤が付きやすいので、注意が必要です。
    水虫やあせもには、患部をさらさらにするパウダーが配合された商品もあります。
    ガスが充填されているものは、高温注意となりますので、夏の車中や直射日光が当たる場所等に放置しないようにしてください。
    また、至近距離から噴霧したり、同じ箇所に連続して噴霧すると、凍傷をおこすこともあるので注意が必要です。
剤 型 特 徴 注 意
液 剤

・皮膚への浸透性が高い

・手を汚さずに塗布できる

・広範囲にも塗布しやすい

・基材にアルコールを使用しているので、刺激がある場合がある。

ゲル剤

・薄い被膜が形成されるので、ラッピング効果が期待できる

・基材にアルコールを使用しているので、刺激がある場合がある。

クリーム剤

・伸びがよく広範囲にも塗布しやすい

・刺激が少ない

・汗や水で流れやすい。

・患部を触った指で、また薬剤を取ると、容器内に雑菌が混入する恐れがある。

軟膏剤

・薬剤の貯留性が高い

・油脂性なので、患部を水から遮断できる。

・刺激が少ない

・べたつき感がある。

・患部を触った指で、また薬剤を取ると、容器内に雑菌が混入する恐れがある。

噴霧剤
エアゾール剤

・手を汚さずに塗布できる

・広範囲にも塗布しやすい

・患部以外にも薬剤がつきやすい

・至近距離から噴霧したり、連続して噴霧すると、凍傷をおこす恐れがある。

・吸入による副作用のリスクがある

※お子様の虫刺されによるかき壊し防止には、パッチ剤も効果的です。

2.代表的な夏の症状と剤型

  1. 1)水虫
    ・患部がジュクジュク⇒クリームや軟膏(刺激が少ないため)
    ・患部が肥厚、カサカサ⇒液剤、ゲル(浸透性が高いため)
    ※傷がひどい場合は、傷の治療を優先します。
  2. 2)あせも
    ・軽度、広範囲⇒クリーム、パウダースプレー
    ・中程度以上⇒軟膏
    ※シッカロールは予防のみに使用しましょう。
  3. 3)虫刺され
    ・蚊⇒液剤、ゲル、クリーム、軟膏、パッチ剤
    ・あぶ、ぶよ、ダニ、くらげ等⇒軟膏、クリーム
    ※患部が化膿している場合は、傷の治療を優先します。
  4. 4)日焼け
    ・軽度、広範囲⇒クリーム、パウダースプレー
    ・中程度以上⇒軟膏
    ※患部が化膿している場合は、傷の治療を優先します。
  5. 5)しっしん・かぶれ
    ・化膿している⇒抗生物質配合の軟膏
    ・化膿がなく、中程度以上⇒ステロイド配合の軟膏・クリーム
    ・化膿がなく、軽度、広範囲、小児⇒非ステロイド配合の軟膏・クリーム

3.ワンポイントアドバイス

  1. ①軟膏やクリームは、使う分をあらかじめ手の甲に取り、患部を触った指で容器内に触れないようにしましょう。
  2. ②水虫菌(白癬菌)は皮膚の奥深くに潜んでいます。従って、水虫薬は入浴後に使用すると、 薬剤の浸透性が高くなるため効果的です。
    また、使用する石鹸は弱酸性もしくは殺菌剤配合のものを使用すると効果的です。
    (保湿成分など配合しているボディソープや石鹸は望ましくありません)
  3. ③皮膚薬には、塗布部の免疫力を低下させるものもあります。患部に傷がある場合には、使用できないものもありますので、注意してください。
  4. ④石鹸と併用すると効果が落ちる成分もあります。充分にすすぎを行いましょう。
  5. ⑤2種類以上併用すると、効果が落ちる成分もあります。安易な併用は控えましょう。
  6. ⑥火の近くでの使用や高温(夏の車中、直射日光が当たる場所)になる場所での保管を避けるものもあります。
  7. ⑦お薬を選ぶ際には、店頭の薬剤師又は登録販売者に相談しましょう。
(2010.07 薬剤師 西村)